懐かしい方々と

SCIENTIA

東洋大学

助手時代に御世話になったMT先生と前任助手のKS氏とに会うために,MT先生が教鞭をとられる東洋大学まで赴いた。

KS氏がMT先生にちょっとした相談があって,それが短時間で終わるからもしも時間がとれるならば久しぶりに会わないかと誘って頂いたので,折角の機会だからということで同席させて頂くことにした。

KS氏は金沢大学で教鞭をとられているが,都内で研究会があり,そこで発表するということであり,それに合わせてMT先生にお会いすることにしたようだ。両者は学会でもときどきお会いするということだったが,私はこちらの大学に就任してから一度もMT先生に挨拶に伺うことができなかったので,よい機会になった。

先生は今も筑波在住で,そこから通っておられるので,私が筑波に用事があるときにお会いしてもよかったのだが,わざわざそのためだけに先生に時間を割いて頂くというのも大袈裟過ぎるので気がひける。それでずっとそのままになっていたわけだ。先生は大学に出校なさるときには,自宅から徒歩で30分かけて筑波センターまで行き,そこでTXに乗られるという。元気なものだと思わされる。

研究室

待ち合わせは先生の研究室であったが,その棟は建ってからまだ2年ほどしか経っておらず,きれいだった。思想系の先生方は同じフロアに集まっているとのことで,ネームプレートを見ていくと,デカルト研究でお世話になっているKM先生の名前も見られた。

春季休暇中ということもあって,KM先生はおられなかったが,仮におられたとしても,私自身が最近報告すべきような業績もないので内心胸を撫でおろしていた。まあ,いずれにしても,KM先生にはまた別に時間をとってお会いしにいこうとは思っている。

昼食

待ち合わせ時刻に研究室に行くと,KS氏が廊下の様子を探っておられた。お二人の話は終わったようだった。それで自宅最寄り駅で慌ただしく買った手土産をお渡しして挨拶をした後,近くの飲食店に行くことにした。時期のせいか時間のせいか,どこに行っても開いていなかったが,ようやく1件先生の行き着けの店が開いていて,そこで簡単な昼食をとることにした。

おそらく小一時間くらいなものだったろうが,いろいろな話をした。その流れの中で,私も,最近何を研究しているのかと尋ねられたので,デカルトとルネサンス的新プラトン主義の関係について調べているという話をしたところ,MT先生が宗教学の専門家であることもあって,面白い研究だと言ってくださった。また,研究者同士が集まれば当然その話が出るものだが,私が学内の体制の話をすると,それは差別的な待遇だと驚いておられた。

別に細かい具体的な話はしていないが,やはり普通の感覚であれば,異常な体制なのだろう。しかも,お話しした程度のことで異常なのであれば,ここに多少とも記してきた内容など信じられる話ではないのだろう。

心労

私の場合には,今ある学内の体質によるものであって,それに関わっている本人たちは全く自覚がないのだから仕方がないというものであるが,KS氏のおかれている立場は,故意であるためにその心労たるや大変なものだろう。いくらその話を聞いたところで,周りの人間は同情することぐらいしかできないが,当事者にとってはとてつもない精神的苦痛がある。

まあ,私のおかれているような無意識的なものであれ,KS氏のおかれているような故意によるものであれ,今おかれている以上に状況を悪化させないためには,常識の通じない人間にはとにかく近寄らないほうがいいということだろう。

野犬に噛まれたくなければ,近寄らないほうがいいのと全く同じである。言葉が通じないのだから。


旧ウェブ日記2007年3月27日付

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