予約
毎年,人間ドック健診では上部消化管内視鏡検査は行うのだが,下部消化管のほうはかなり前のことになる。旧ウェブ日記を調べてみたところ,2014年12月1日のことだった。
下部消化管内視鏡検査の場合には,腸の洗浄を2時間ほどかけて行うことになるので,結構大掛かりで体力も消耗することになる。だから,時間的にも精神的にも余裕があり,身体状態が比較的安定しているときでなければ進んで行いたくもない検査だ。検査の中で一番苦手かもしれない。
ただ,前回行ってから10年を迎えようとしている。しかし,腸疾患の場合,発症してから増悪するのが非常に速いので,病変を早めに発見することが肝要だ。
幸いなことに,昨年度は休職命令が出て,今年度はゆるゆると体調を回復させるリハビリを行っているようなものであるため,この夏も,特に何かをする予定があるわけでもない。それに8月中はこの酷暑の連続である。散歩に出ることすら躊躇し続けてきたわけであるから,むしろこの月は様々な検査を纏めて行う期間として定めておいたほうがよいだろう。
とにかく,先月下旬に人間ドック健診を受けた後,大腸内視鏡検査を行うのは今しかないと思い,予約を入れた。実は,この手の検査は,予約をとろうにも数ヶ月先になることすらある。これほどすんなりと取れるとは思っていなかった。
処置
検査の段取りは人間ドック健診とほぼ一緒なので,特に不安はなかったのだが,上述の通り,下部消化管内視鏡検査では,事前に腸の洗浄を行わなければならない。
当然,食事制限は上部消化管内視鏡検査よりも厳しく,また,検査前日夜には下剤を内服し,当日は病院で,ひたすら腸洗浄のための水溶液を飲み排便を続ける必要がある。これがなかなかきつい。それでも,これまで何度かこの処置を行ってきた経験では,失敗するということはなかった。
ところが,今回は洗浄が完全でないまま排泄が止まってしまった。処置を開始してから3時間が経っていた。それで,浣腸による処置をするか,このまま完全に洗浄しきれないまま検査を強行するかの二択になったのだが,結局,そのまま検査するということになった。
検査
処置の間も人間ドックのときと同じ検査着を着るのだが,下部消化管検査の場合には,検査直前に専用の検査着と紙製の下着に着替える。
上部消化管もそうなのだが,内視鏡検査では鎮静剤を打ってもらう。そのほうが,反射的な防御反応による身体のストレスがなくて済むからだ。ただ,いつも上部消化管の場合には完全に眠ってしまうのだが,今回は半分覚醒していた。鎮静剤のこの量の違いについては,何か理由があるのだろう。
検査中は消化管の中にガスを送って膨らまし続けるため,腸の場合には,局所な膨満感のような圧迫が生じ,結構苦しい。今回は鎮静剤を使用したものの,この苦しさは余り変わらなかった。それでもやはり,反射的な防御反応によって余計な力が入るよりは楽だっただろう。
検査中に発覚したことなのだが,検査前日は摂食にかなり気を遣っていたものの,一昨日食べた果物類の“種”や“皮”が固形物として腸管の中に残存し,それが洗浄の際の障害物になっていたようだ。久しぶりの検査だったので,そこまでは気が回らなかった。
勿論,検査の際にそれの残存物を取り除くことはできないので,その残存物がある箇所は目視できないことになる。従って,腸管全体の状態から総合的に判断するということになる。
終了直後には,その検査室内で担当医から直接簡単な説明を受ける。そのときには,上体を動かすことができ,意識もきちんと戻っていた。上述したような状況だったが,目視できた箇所についてもは全く異常は見られないということだ。取り敢えず良かった。
会計と食事
その後,上部消化管のときと同様,少しの間リクライニングで休んで,完全に鎮静剤から覚めるのを待つ。酸素飽和度も異常がないということを確認して,歩いて更衣室に戻り,着替えて受付で会計を済ませた。カードが使えるので楽だ。そうでなければ,いつもは所持しないような金額を準備して持ち歩かなければならないから。
会計後は,人間ドック健診のときと同様,専用のレストランに食事が用意されていた。
実は,下部消化管の検査後なので,帰りに昼食を摂ろうにも,どこで何を食べればいいのかわからず,蕎麦屋で“もりそば”で済まそうと思っていたところだった。しかし,院内の食堂であれば,栄養価や消化時の身体的負担などを考慮してくれるから安心だ。
今は健診の病院食というのは,旅館食のように豪勢だ。これが下部消化管検査後の食事とは思えない。だが,きちんと検査後の理想的な食事になっているわけだ。
実際に,完食した後も,疲れているはずの腸への負担は全く感じられなかった。
帰宅後はシャワーを浴びると眠くなり,そのまま夜まで寝てしまった。とにかく一大イベントを終えたという感じだ。ただ,これで下部消化管内視鏡検査の段取りもわかったので,また数年後に受診するときには,先ず食事制限に細心の注意を払うことにしよう。