MUSICA

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デュオ・コンサート

久しぶりに一日雨が降り続いた。気温も低く,冬に戻ったような感じだった。今月に入ってすぐ,ウィーン在住のチェリスト平野玲音さんからメールが届き,短期間帰朝して小さなコンサートを開くと知らせて下さったのだが,こちらも,体調や来年度準備等がどうなるのか覚束なかったので直ぐにお返事差し上
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Capricio VIII, QV. 3:1.21

クヴァンツのカプリッチオを一通り浚さらっているのだが,この B-Dur が最後の曲だ。B, C, Es, F の音色がこの調の性格エートスを決めてしまうので,このけたたましいスピードの中でも,それらの性格が浮き出るように訓練しなければならない。 横笛は,只でさえ体調が優れないとき
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訃報

不思議な体験をしたいつもと同じ重い身体を昼過ぎに起こし,何をするでもなく,また夕方の散歩をした。いつもの散歩コースの途中に,一件だけ,海を見ることができる小さなカフェがある。本当に不思議なのだが,国道と海の間を砂防林が遮っているため,散歩コースにあるカフェは2階席であったとしても
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Clair du lune

ラシーヌ讃歌フォーレ (Gabriel Urbain Fauré, 1845-1924) に〈ラシーヌ讃歌 Cantique de Jean Racine〉 Op.11 という合唱曲がある。19歳のときの作品だ。John Rutter, The Cambridge Singers
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Non-Aliud

無伴奏注文していたバッハ《無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ》 (BWV1001-1006) の CD が届いた。川原千真さんが演奏したものだ。この演奏で使用しているヴァイオリンは,ジェノヴァの農家の納屋で10年ほど前に発見されたもので,18世紀後半の北イタリアで製作
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Les Voix Humaines

声の如くに西洋音楽の伝統は,「器楽」を排除するところから始まった。そして,ボエティウス (Anicius Manlius Severinus Boethius, c.480-524AD)による「音楽の3区分」 --- 宇宙の音楽,人間の音楽,機関の音楽 --- は,この考えに対す
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mon compagnon de misère

初披露私が持っているフラウト・トラヴェルソ。(双方とも A≒415Hz)Stanesby juniorこのうち、下の白いものはプラスチック(ABS 樹脂)製で、アウロス社の樹脂製ステインズビージュニアAF-3である。プラスチック製とはいいながら、結構な重さがある。ステインズビーの
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笛のこと

先生私がトラヴェルソ (flauto traverso) と出会ったのは,田中潤一先生の音だった。それまではずっとリコーダー (Blockflöte) ばかりを吹いていて,バロック音楽を聴いてもフルートには余り心が惹かれなかった。むしろ「出来の悪い楽器」という印象しかもたなかった
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オルフェウス

ルーリーちょっとしたことが理由で,以前に購入したアントニー・ルーリー著/有村祐輔訳『内なるオルフェウスの歌』(音楽之友社,1995年)を読み返している。このルーリーというのは,古楽におけるレオンハルトやブリュッヘンの次世代と言ってもいいと思うが,エマ・カークビーらと共に,リュート
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ギリシアのハルモニア論

音階論(ハルモニカ)今日は一つだけいいことがあった。それは アリストクセノスとプトレマイオスの「ハルモニア論」の訳本が届いていたこと。山本建郎氏の訳だ。古代ギリシア音楽論について語ろうとすれば,この2つの「音階論ハルモニカ」に言及せざるをえなくなる。しかし,これまでこれら2冊の完