フィッティング
以前から眼鏡店の担当者から誘われていたフェアに行ってきた。様々なメーカーによる膨大な数の商品が陳列され,普段は絶対に見ることのできないものまで直に手に取って確認することができる。
担当者の方が他にも接客があり,その間,適当にぶらぶら周りながら見ていたところ,丁度良さそうなものが並んでいた。それらを眺めていたところ,どうぞ試着してみて下さいと声をかけられたのだが,それを製作している方の二代目に当たる方だそう。
よく訊いてみると,これまで眼鏡店で注文・購入した中近と遠近と同じメーカーのものだという。日本人の顔にフィットするようにできていて,職人技によって隅々までどれも気配りが行き届いている。
幾つか似合いそうなものを選んで頂いたのだが,そうしているうちに担当者の方が来られ,更に,比較のために他のメーカーのものなども持ってきて下さり,大分方向が定まった。ただ,色合いや大きさがどれも微妙に決め手に欠けるところがある。
出会う
すると,製作者の方が「店頭ではまだ出してないけれど」と言いつつ,下の方から取り出して幾つか見せて下さった。そのうち,デザインや重さ,更には,枠の大きさまでシックリ来る感じのものが一つあった。
幾つかの候補と共に,改めてテーブルに座りながら掛け比べてみたところ,やはり,先程「シックリ来る」と感じたものが,他のどれよりも良かった。
今回は専ら家の中(もしくは教室)で使用する中近を考えていたのだが,そうすると上下で度を使い分けることになるため,縦の長さにある程度ゆとりをもたせたほうがよい。ところが,そうすると枠が少し大きいめになり横幅とのバランスが問題になる。また,全体の重心の位置やテンプルの当たり加減など,複数の要件を満たす必要がある。
そうした様々な要件を満たすものには,なかなか出会えそうにはなかった。それに決めることにした。
その場で発注することになったのだが,担当者と製作者との遣り取りを聞いていると,どうも店頭販売していないものであるため商品番号がないらしく,特注枠で発注することになるらしい。これもなかなか出会すことのない場面である。
勿論,現物が店舗に届いてから,改めて視力測定をし,それからレンズを発注して入れ,最終的に全体をチェックして引き取るという段取りになる。
これまで中近として使っていたほうは,普段PC作業等で使用する近近としてレンズを入れ直してもらうことにするつもりだ。まあ,それはもう少し先の話になるが……
似顔絵
会場を出ようとしたとき,担当者の方が出口のほうに案内してくれたのだが,その際,来場記念の似顔絵サービスがあるということで,せっかくなので描いてもらうことにした。
店のほうでこのイベントのために呼んだアーティストらしく,国家検定試験を合格しているのだとか。
似顔絵など描いてもらったことなどないのだが(そもそも写真ですら殆ど撮ってもらうこともない),そのアーティストが描いた他の人たちの似顔絵が後の壁一面に飾ってあり,どれも幸せな気分になるものばかりだった。
きっとこの人の描く絵は,出会ったその人たちの幸福を願う祈りそのものなのだろう。