日頃からお世話になり大変に重宝している製品について,批判的なことを述べなければならないことほど遺憾なことはない。特に,コロナ禍に入る遥か以前から愛用していた衛生用品に関しては。
例えば,アルコールティッシュ類に関しては,拙宅では殆どユニチャーム(unicharm)の「99.99%除菌」を使ってきた。
ところで,このところウイルス性胃腸炎が蔓延してきていて,アルコール消毒だけではノンエンベロープ型のウイルスには対処しきれないということが気になっていた。
それで調べてみたところ,これまでのアルコールティッシュにノロウイルス対策用の成分が入ったものが市販されているということがわかった。それで大急ぎでネット通販を調べ,やはりユニチャームの製品を注文することにした。「ノロクリアウェット除菌」という製品である。

今日の午前中にそれが届いたのだが,次がその現物をスマホ撮影したものだ。

一瞥して違う製品であることは明らかではないだろうか?
そこで販売店にメール連絡してみたところ,外装が変わっただけで成分は全く一緒だが,掲載していた画像のものとは明らかに異なるので,着払いで返品して頂きたいとのことだった。
ところが,たしかに左の製品に関しては,下のほうに小さな文字で「ノロクリアウェット」という記載があるものの,右のほうは,目視する限りではこれまでの「アルコールティッシュ」と何ら変わりはない。
そこで,成分表示を確認してみたところ,左の「ボックス型」のものにはノンエンベロープ型のウイルスに有効だということが確認されている「変性リゾチーム」が表記されているのに対して,右側の「外出用」のものには表記されていなかった。
販売店の言い分をそのまま受けるならば,右側(外出用)のものは,「成分表示には変性リゾチームの表記はないものの,実際には成分として含まれている」と捉えざるをえない。
「まあ,そういうこともあるのかな……」と思いつつも,本当のことは製造元に確認しなければわからないと思い直し,そこに記されているユニチャームの「お客様相談ダイヤル」に問い合せてみた。受付には直ぐにつながったのだが,その後の遣り取りで唖然とすることが起こった。
こちらの質問は,次の通り。
「ある販売店でボックス型と外出用の2つを購入したが,販売ページに表示された商品パッケージと実際に手元に届いた商品のパッケージとは異なっていたために,問い合せてみたところ,パッケージ更新のためにデザインは異なるが,成分は全く同じだとのことだった。しかし,ボックス型の成分表示には“変性リゾチーム”が表記されているが,外出用にはそれが表記されていない。この外出用のものには,表記されていない“変性リゾチーム”は含まれているのかどうか?」
この簡単な一つの質問に対して,何度も確認するだのなんだのと待たせ,その調子で10分経っても明確な説明がないので,こちらもついに痺れをきらせて,「何で一つの成分が入っているのか入っていないのかという,こんな簡単な一つの質問に答えられないのか?」と語気を強めて言うと,遂に次のような返答が返ってきた。
「成分表示に表記されている製品には含まれているが,表記されていなければ含まれてない。」
しかし,これでは意味がわからないではないか。販売店では,パッケージ変更後のものだと説明しているわけだが,実際には,成分表示には “変性リゾチーム” の表記がない。そうすると,新装の商品には,同一のパッケージでありながら成分の異なる二つのものがあり,それらは成分表示の細かい文字を確認しなければ区別がつかないということになる。
ここで,上記の2つの画像を比較して頂きたいのだが,パッケージ変更前のものでも,「ボックス型」と「外出用」とではデザインが微妙に異なるため,パッケージ変更後のものだと言われた手元の商品についても,「ボックス型」と「外出用」とでデザインが若干異なるということは十分に考えられる。
しかも,この「ボックス型」と「外出用」とは,双方ともデカデカと「99.99%除菌 ウイルス除去」と表示されているため,よほどこの製品について熟知している人間でない限り,細かい字で記されているものの違いなどわかるはずはない。というのも,この手のパッケージには,しょっちゅう「何とかかんとかのサービス中」のような,殆ど意味のない表示が加えられていたりするわけだから,そもそもこのデザインの微小な「間違い探し」のようなことに付き合っていられないだろう。
何より,この「シルコット」のブランドの悪質なところは,このように紛らわしいパッケージの異なる商品を幾つも販売し,しかも,今回のようにそのデザインもしょっちゅう変更するために,ドラッグストアなどの店頭での購入の際に商品名を伝えても,類似の文字表記のために店員ですら混乱し,誤った商品を販売してしまうということも珍しいことではないということである。
ユニチャーム(unicharm)社は,何故,商品を識別するための記号・番号のようなものを商品に付けておかないのだろうか? その簡単な工夫をしておけば,購入者側も販売者側も,いちいち混乱することなく取引ができるはずなのだが,現に行っていることは,今回の事例でもわかる通り,金額の異なる商品を同一のものとして錯覚させて購入させるという悪質な手口にしか見えない。
ちなみに,「景品表示法」では,「その商品に使用されている原材料、添加物、効能、安全性」を誤認させるような表示は「不当表示」であるとされ,勿論,上記のように消費者を混乱させるようなパッケージ表示は問題外である。
電話を切る前に,このような表記の仕方は違法であるということをはっきり伝えておいた。
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