夏目漱石の書簡

SCIENTIA

調べ物

来年度科目時間割の提出期限が今日だったので,それを提出しにいった。それで時間があったので図書館で調べものをした。

一つは,17世紀オランダで広く読まれたホラティウスの寓意画集であるが,稀覯きこう書であるため,どういう状態であるのかを確認しておきたかった。

この書が重要であるのは,この時代に用いられた寓意的イメージと言語の対応,しかも,各国語の対応がどのようになっていたのかを知る上での具体的な資料となるからである。私がこれを哲学予算で入れたのは数年前,しかし,注文した当の本人はこの挿絵をルーベンスの作だと思っていたのであるから世話がない。今日になってよく説明文を見てみると,その師にあたる人物の手になるものらしい。

私はホラティウスが17世紀に具体的にどのように浸透していたのかということにのみ興味をもち,また,寓意画についても,どういう構図になっているかがわかればよいだけだったので,画家の詳細についてまでは興味がなかった。

とにかく,この書については,稀覯書であるためにコピーはできないので,日を改めてデジカメで撮影することにした(必要なのは文字情報である)。

そういえばロバート・フラッドの『両宇宙誌』のことであるが,版元から連絡が入り,公刊されるのは数年先だということである。残念だ。

漱石全集

あと一つ,こちらはよりプライヴェートなことに関わる件で調べ物をした。

結局その資料は,昭和41年に岩波書店から出された『漱石全集』第14巻の「書簡集」だったのだが,そこに辿り着いたのは山勘のお陰である。

何となく第17巻の「牽引」を見れば,到り着くことができるような気がしたので,その巻を手に取り,「固有名詞」の「名須川」の項目を探した。すると,確かに私の曾祖父「名須川良」の名があり,14巻328頁,641-642頁に現れるらしかった。

そこで,第14巻を見てみたところ,漱石の明治38年10月20日付(但し,ここでは「奈須川」と誤記しているらしい),明治40年9月10日付,同月14日付の3つの書簡にその姓が現れる。

このうち9月10日の書簡には,ある学校への英語教員として推薦すべき人物の名前が3名記されており,「名須川良」の他は,「戸川明三」,「野間眞綱」である。この後のお二方は,双方とも明治学院の英文科と関係する人物である。何とも因縁めいているが。

父が曾祖父に関する資料を集めているところだから,早速送ってやろう。


旧ウェブ日記2008年7月30日付

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