漢方治療
月末の検査で,特に他の病気が陽性ではなかったら,しばらく漢方治療をしようと思っている。ところで,その場合,先月も記した「過敏性腸症候群」の治療に専念することになるが,漢方では,この症例の症状の出方によって,処方する薬が特定されている。
それで,どれを処方すべきかを,同じく東海大学病院の漢方外来に行って相談することにした。
結果としては,市販されているツムラの桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)エキスのみを20日間投与してみて,効果があるかどうかを判断しようということだった。
これでは最初から漢方薬局で診断結果に合う薬を調合してもらったほうがよかったということだろう。まあ,本当にこれで多少とも効き目があれば,その結果を報告できるから,それはそれでいいのかもしれない。
現代医学の漢方
確かに,大学病院の漢方外来におけるこうした薬の出し方は,保険がきく範囲に制限していて,個人で薬局から直接買うよりもかなり安価になる。
しかし,漢方治療からいうと,ただ一つの薬だけを投与し続けるということはありえない。必ずといっていいほど,複数の方剤を混ぜ合わせる。何故ならば,複数の症状が現れている場合には,その全てに合うように幾つかの薬が必要になるだろうし,特有の混ぜ合わ方によって,それぞれがもっている副作用を打ち消し合い,特定の薬効が現れるようにしているからである。
この伝統的な漢方処方からみると,総合病院というのは,かかった診療科の数よりも多い薬が出て,挙げ句の果てには,副作用で悩まされ,そのためにまた通院しなければならなくなる。
私の場合,病院というのは,データを正確にとるための技術職であり,治療は漢方処方に頼るべきであるというのが持論である。
そういう意味では,今回のこの大学病院の漢方外来には幻滅している。余りにも西洋医学に媚びすぎていて,東洋医学の本質が見失われているように思われる。勿論,診療して下さった医師もそのことを知っておられるが,現在の大学病院の医療体制の下では,まだまだ漢方の理想に近付くことはできないのかもしれない。
旧ウェブ日記2007年2月5日付