組み直し
健診結果面談を終え,特段に留意すべき点もなかったので,その後今に至るまでの体調変化を考慮して,新たに漢方処方を組み直して貰った。
午前中に届いたが,これまで通りの「半夏瀉心湯」・「乾姜」・「オタネ人参」をベースに,「茯苓」・「朮」・「陳皮」を加えた処方だった。新たに追加された三つの方剤は,人間ドックの上部消化管内視鏡検査で指摘を受けた十二指腸炎の症状に照準を合わせたものなのだが,同時に夏風邪,特に喉風邪にも対応する処方である。
西洋医学は要素還元論的な発想から,個々の方剤の「成分」を中心に組み合わせていくが,東洋医学は全体論的な発想が強く,西洋医学が現在のような形になる以前の四大元素(四大原質)に基づく体系に近い。
このため,一つの症状に対し,体質や既往症や生活環境等々の全体から判断して処方するので,その症状に相関する症状に対しても有効であることが多いのである。
急性扁桃腺炎
そろそろ秋学期準備に取り掛かろうとしていた9月14日(木)の夕方から感冒様症状が強まり鼻漏れが増え,翌15日(金)には膿性痰が多量に出るようになってきた。そして,一気に扁桃腺炎の症状が現れ始めた。
丁度,その木曜日には漢方薬の処方を「柴胡桂枝湯+オタネ人参+姜」に変えて貰ったところだったのだが,その処方では炎症と咳を抑えることはできない。また,声が出なくなり倦怠感で長時間外出することもできなくなってしまったので,漢方薬局への相談も内科への受診もできず,とにかく自宅にある市販の消炎鎮痛剤で様子をみることにした。
金曜日には一時的に37度の微熱は出たものの,直ぐに平熱に戻ってしまい,後は副鼻腔炎と扁桃腺炎に特徴的な症状が続くだけだった。こうした症状は数年に一度ぐらい出るため慣れてはいるのだが,いつも微熱と痰と咳が長引いていた。
今回異なるのは,扁桃腺炎に付きものの高熱が出なかったことだ。たまたまこのときに処方されていた上記の漢方処方が功を奏し,解熱してしまったようだ。これまでの経験では,扁桃腺炎を発症した際に幾ら解熱剤を処方しても,夜になると38度台の熱が出て下がらないというのが当たり前だっただけに,その効果を肌身に感じることとなった。
耳鼻科の処方
とはいえ,体力を温存し症状を回復させなければならないので,土日も寝たきりだった。痰も,一時的に血痰が混ざるようになっていたのだが,その後量が減り,膿性痰も出たり出なかったりを繰り返すようになっていった。
耳鼻科の処方薬も切れてきていたので,月曜日に通院し,この急性の副鼻腔炎と扁桃腺炎について一緒に相談しようと思っていたところ,9月18日(月)は敬老の日の祝日。ドラックストアの薬剤師に相談して市販薬でやり過ごし,翌,9月19日(火)に耳鼻科に行った。
だいぶ全体の症状は落ち着き声も出るようになっていたので,特に処方薬も出ないのではないかと思っていたところ,やはり副鼻腔炎の膿性痰が残っている間は抗生剤を処方したほうがいいだろうということで,5日分を出してもらった。その翌日には,痰から殆ど色は消え透明になった。
再び組み直し
そのまま秋学期授業が始まってしまったのだが,咳は痰が絡んだり口腔内に外気が直接当たって刺激しない限り出なかったので,通常通りKN95マスクをしていれば問題なかった。マスクが口腔内の粘膜保護になるということを実感した。
また履修登録者確定の作業で連日徹夜となり,心身に負担をかけ,症状がぶり返してきた。抗生剤を処方して数日になるが,また粘度の高い膿性痰が増え,高湿度の中で久しぶりの授業を行ったため全身が汗だくになり,帰宅の際に電車の今日冷房で身体を冷やしたために,夜には全身倦怠で一時的に身体が動かなくなりかけたりもした。
そこで,9月22日(金)の昼休みに改めて漢方薬局に電話相談をしてみたところ,一時的に処方を変えようということになった。翌日には届いたのだが,「小柴胡湯」・「オタネ人参(姜入り)」・「半夏厚朴湯」・「桔梗」・「桑白皮」を合わせた処方だった。
症状が長引く……
最初に扁桃腺炎・副鼻腔炎の症状が現れてから既に20日になるのだが,やはり咳嗽反射が残る。もう炎症は殆ど無いのだが,鼻漏が粘性が高く,粘膜が乾燥気味であるために,刺激を受けて咳が出るわけである。
勿論,嗽の他,喉粘膜が乾燥しそうになる度に龍角散を処方する等,相当神経を使って対処しているのだが,それでもスッキリしない状態が続いている。
そろそろ漢方薬を使い切るので,昨日10月5日(木)に再び相談をして,新たに処方してもらった。今回は「麥門冬湯」・「オタネ人参(姜入り)」・「半夏厚朴湯」・「桔梗」・「黄蓍」を混ぜ合わせていて,喉の乾燥からくる症状を抑え末梢血管拡張・抗アレルギーの作用を強めたかなり特殊な組み方になっている。
今日も授業があり,咳嗽反射で声が出なくなるのではないかと心配したが,なんとかなった。これで来週までの間には全快してほしいものだ。