クヴァンツのカプリッチオを一通り浚っているのだが,この B-Dur が最後の曲だ。B, C, Es, F の音色がこの調の性格を決めてしまうので,このけたたましいスピードの中でも,それらの性格が浮き出るように訓練しなければならない。
横笛は,只でさえ体調が優れないときにはまともな音を出すことはできなくなるのだが,それでも静養期間に何もしないよりはマシだと思って,少しずつ音を出すようにはしていた。
逆に,もう楽器ができなくなるのではないかという絶望感の中で始めたので,却って,一音一音の発音に集中して向かい合うことができたため,以前の発音の悪弊がわかり修正してきた結果,音の出し方がわかってきた。
この曲を1キーの楽器で演奏した録音を耳にしたことはない。そもそも最近の奏者は古楽フルートの奏法を誤って身に付けているとしか思えない。きちんと一音一音をクリアに発音していない演奏ばかりが目立つ。モダンフルートから持ち替えた奏者が増え,奏法の基礎を知らないからだろう。
この曲には,もう少しだけ付き合うことにしよう。