訪問者
講義を終えて戻ると,研究室前に誰か立っていて,最初は何かの業者の人かと思った。近付いてよくみると,私が顧問を引き受けているビリヤードサークルの4年生だった。
3月に引き継ぎのために新役員とともに挨拶に来たいというメールが来ていたのだが,その直後に例のメールサーバ問題に巻き込まれたために,すっかり放置したままになっていた。
こういうしっかりした学生に対しては申し訳ないと思う。しかし,大学はこういう学生のことを少しも考えてないだろう。
学生活動
一年前の引き継ぎ時期にもこの学生に会っているのだが,最初,その学生だとわからなかった。就活していく中でいろいろな社会人に接する機会が増えたためだろう,すっかり大人びてきている。
少しだけ話をしたところ,OB会などができているらしく,サークル自体の上下の関係も上手く,しかも自然に繋がっているようだった。
就活
余り個人的に立ち入ったことは訊かなかったが,親も親戚も皆,好きなことをしたかったら自分で稼いだ金でやれという考え方をするらしく,必死で就活している最中だということだった。
しかし,今は実感をもつだけの余裕はないだろうが,世間一般では,親や親戚がそういう考え方をもっているということが,当人を周りが「真っ当だ」と認める指標ともなりうるというのも事実である。
大学を出た後も好きなことだけをやって過ごす生活など,よっぽど裕福な家でもない限り,普通はありえない。
「今考えると,1~2年生の頃にただ過ごした時間が勿体ない。その頃よりも今のほうがもっと大学で勉強し直したいことがある。」
短い会話の中で,この言葉に最も実感がこもっていたように思われる。その実感をもたない当の1~2年生を中心に教えている側にとっては,複雑な心持ちである。
旧ウェブ日記2010年5月13日付