説明責任
「哲学(専)」のテキストを漸く購入することができ,先日,教養教育センター共同研究室に郵送しておいた。
これで今日の講義に受講者へ渡すことができたのであるが,結局,5冊注文しておいて,購入者は2名であった。あと2名は,履修登録エラーが出たために受講不可能となったからである。
というのも,この「哲学(専)」を履修するための条件として,共通科目の「哲学」・「論理学」・「倫理学」のうち2科目の単位を取得済みでなければならないのだが,当該履修者がその条件を認識していなかったのである。
慥かに「シラバス」には明記されているが,そんな変則的な履修条件に関しては,学部・学科のほうで相手が理解しているかどうか確認をとるべきであろう。
これが「不動産売買契約」や「保険契約」であるとするならば,明らかに重要事項説明義務違反で損害賠償責任を負う可能性が出てくる。「読んでいなかった方が悪い」で済まされる話ではない。
責任所在
それでは,「哲学(専)」の担当教員がその責任を負うべきなのかというと,その必要はない。
そもそもこの科目は「文学部共通科目」なのであって,いわば「全学共通科目担当教員」が文学部から委託を受けて開講しているに過ぎないからである。だから,直接的に責任を負うべきは,文学部教授会なのである。
この論理でいけば,私も被害者の側である。何故ならば,本来,現状を把握すべき文学部が,この科目に対して何の責任も負っていないのが現状なのであるから。
しかし,だからといって,「哲学(専)」の担当教員に関して,文学部でこれを手配するというのは,非現実的であろう。
というのも,その履修条件として全学共通科目の「哲学」・「論理学」・「倫理学」から2科目を取得済みでなければならないということから,これら全学共通科目との連携をしなければならず,これが叶わなければ,カリキュラムの整合性がとれなくなろうことは推察するに難くない。
また,この科目を必要とする学生がいるということが事実である一方,必修科目ではないということによって,担当教員には過度の精神的負担が要求される。
今回の場合には,学期の半ばになりながら,未だもって準備すべきテキストの部数が不明瞭であり,その結果,予備を含めて4冊が余分となった。
損失額
実は,先日も記したが,最初は生協で確認してみたところ,春学期に入荷した分は全て返却したとのことだった。
それで次に,Amazon.co.jp にて確認をしたところ,国内在庫があり,必要札数を確保できるとの連絡があった。ところが,今月中旬になってから突然「入手不可能」であると連絡が入ったためにキャンセルすることになった。
Amazon.co.jp に発注した際,価格が2,500円であったが,このキャンセルによって,急遽,丸善で手配してもらい,その結果,3,300円で入手することになった。
受講者にはテキスト代は2,500円でいいと口頭で約束していたから,結局,引き取ってもらった2冊分で (3,300-2,500) x 2 = 1,600円,更に,引き取ってもらえなかった3冊分で 3,300 x 3 = 9,900円,計11,500円の損失ということになる。
労働負担
学部が,「必要だが必修ではない」などという馬鹿げた科目を作るから,これだけ精神的に物質的に損害を被っているのである。しかも,何度も言うが,哲学の専任教員は私一人だけであるため,被害が認識されていないわけである。
そもそも論で言えば,「哲学」・「論理学」・「倫理学」の3つの科目がありながら,専任は「哲学」・「倫理学」が各1名の計2名であり,「論理学」の専任がいないために「哲学」の専任が兼任しているというのが現状なのだ。
本来だったら,「論理学の哲学」を担当すべき専任教員がいてしかるべきなのに。
異常な体制
こんなところに書いているくらいだったら,それをはっきり学部に言ったらどうかと言われそうだが,何度も言っている話だし,そもそも学部が関知していないこと自体がおかしいだろう。
こうして毎週水曜日は不愉快になるのだが,明日も横浜で3コマ講義をしなければならないし,こういう馬鹿げたことを考えていてもまたストレスを溜め込むだけだから,そういうものなのだと潔く決め込むのがいいのだろう。
旧ウェブ日記2006年10月25日付