これは何であろうか?

SCIENTIA

網戸に……

自律神経がおかしくなってしまっているらしく,夜眠りに就くことがなかなかできず,また明け方に寝る羽目に陥ってしまった。それで昼頃むくむくと起き上がって,和室の窓をふと見ると,網戸に,大きなゴミにようなものがくっついていた。

最初は,セミの死骸だと思っていたのだが,よく見ると,寧ろカエルがくっ付いて干からびた様にも思える。

だが,ここはマンションの5階である。しかもこの窓の下には足場になるようなものもなく,下から跳ね上がってここまで辿り着ける様な経路というものも,容易には想像できない。鳥が咥えて屋上まで運んだとしても,だからといって,この垂直面にカエルが張り付くであろうか。

蝙蝠

逆さまになった下の方が頭である様だが,そうすると,その形状はネズミを想起させる。

「そうか!」

あることを思い立ち,恐る恐る網戸を開け,外側から眺めてみた。

やはり蝙蝠であった。

と,正体がわかったからといって,決して気持ちの良いものではない。一体どうしてここに張り付いているのか,大体いつもはどこで生活しているのか,いつになったらここから去っていくのか,後から後から妙な想像が沸いてくる。

そうして見ているうちに好奇心が出てくるものである。そうすると,自ずと,この蝙蝠に妙な愛着が沸いてくる。最初は不気味であったが,中途半端な形をしたネズミの様で,可愛らしく見えてくるものである。

目覚め

「それ」は,余程,眠かったのであろう。鼻先を小突かれて,ちょっとだけ位置をずらしたりはするものの,相変わらず寝続けている。しかも,蝙蝠らしく逆さまになってお休みしているのだ。

その姿を見ているうちに,午後3時を過ぎて,こちらも妙に眠くなってきた。昨日の不眠の疲れが今出てきたのであろう。

そうして目が覚めたのが午後6時過ぎ。目覚めて最初に頭をよぎったのは,「アイツ,まだあそこにいるかな」ということだった。

急いで見に行くと,案の定,居なかった。「それ」にとっては,正規の起床時間だったのだろう。


旧ウェブ日記2004年8月21日付

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